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南柑20号とは?

南柑20号は、温州みかんの中でも「中生(なかて)」と呼ばれる晩秋から初冬にかけて収穫される品種群に属します。愛媛県、特に宇和島市を中心とする南予地方で古くから栽培されており、その品質の高さから「愛媛みかんの代表格」として全国的に知られています。
| 品種名 | 南柑20号(なんかん20ごう) |
|---|---|
| 分類 | 中生温州(なかてうんしゅう) |
| 発見年 | 1926年(大正15年/昭和元年) |
| 発見地 | 愛媛県宇和島市(今城辰男氏の園地) |
| 主な特徴 | 酸味が少なく甘味が濃厚、じょうのうが薄い |
| 種 | ほとんどなし |
南柑20号の歴史は古く、1926年(大正15年)に愛媛県宇和島市の今城辰男氏の果樹園にて発見されたのが始まりです。
当時、愛媛県立果樹試験場南予分場(現在の愛媛県農林水産研究所果樹研究センター南予分場)が優良な系統の選抜を行っており、その中で特に優れた特性を持つこの木が選抜されました。「南柑」という名前は「南予柑橘分場」に由来しており、数ある系統の中で「20号」と番号付けされたものが、現在の銘品種となりました。
現在では、愛媛県内で栽培される中生温州みかんの栽培面積の7割強を占めるほどの絶対的な主力品種となっており、宮川早生に次いで多く生産されています。その信頼性の高さと安定した食味から、長年にわたり農家と消費者の双方から支持され続けている、まさに「キング・オブ・愛媛みかん」とも呼べる存在です。
南柑20号の味の特徴
南柑20号の最大の魅力は、なんといってもその「濃厚なコク」にあります。早生みかんの瑞々しさとは一線を画し、熟成された深い甘みと旨味が特徴です。
酸味は控えめで「酸抜け」が良い品種であるため、食べた瞬間に強い甘さを感じることができます。しかし、単に甘いだけではなく、適度な酸味が味の輪郭を引き締め、まろやかで奥行きのある味わいを生み出しています。
この「コクのある甘さ」は、南柑20号がじっくりと樹上で熟成される中生品種であることに由来します。晩秋の太陽をたっぷりと浴びて育った果実は、糖度が高まるだけでなく、果汁の濃度も増します。
口に含んだ瞬間に広がる芳醇な香りと、後を引く濃厚な余韻は、冬のみかんの醍醐味と言えるでしょう。こたつで食べるみかんとして、これほど適した品種は他にないと言っても過言ではありません。
南柑20号の参考糖度
| 品種・区分 | 糖度目安 | 味の傾向 |
|---|---|---|
| 南柑20号 | 11度 〜 13度 | 酸味が低く、数値以上に甘く感じる |
| 一般的な温州みかん | 10度 〜 11度 | 甘みと酸味のバランスが良い |
| 極早生みかん | 8度 〜 10度 | 酸味がやや強く、さっぱりしている |
南柑20号の糖度は平均して11度から13度程度と、温州みかんの中では高い水準を誇ります。近年の高品質栽培技術の向上により、適切な水分管理(マルチ栽培など)が行われた園地のものは、糖度13度を超えることも珍しくありません。しかし、南柑20号の特筆すべき点は、単なる糖度の数値以上に「甘く感じる」という官能評価の高さにあります。
これは、糖度に対して酸度(クエン酸含量)が比較的低く抑えられる傾向にあるためです。糖酸比(甘味比)のバランスが絶妙で、酸味が舌を刺すことなく、まろやかな甘みがダイレクトに伝わります。「酸っぱいみかんは苦手」という方や、小さなお子様からご年配の方まで、どなたでも美味しく召し上がっていただける安心感のある甘さです。特に12月の完熟期には酸がしっかりと抜け、濃厚な甘いジュースのような味わいへと変化します。
南柑20号の見た目の特徴
南柑20号の果実は、やや扁平な「偏円形」をしており、ずっしりとした重量感があります。果皮の色は非常に濃い橙色(オレンジ色)で、完熟すると赤みを帯びたような鮮やかな発色を見せます。この美しい紅色の外観は、贈答用としても大変見栄えが良く、お歳暮などの冬のギフトとして重宝される理由の一つです。
果皮の表面には「油胞(ゆほう)」と呼ばれる粒々があり、少しデコボコとしていて粗めの肌触りなのが特徴です。一見すると肌が荒れているように見えることもありますが、これは南柑20号特有の性質であり、味の良さとは無関係、むしろ濃厚な味の証とも言われます。サイズはM玉からL玉が中心で、大きすぎず小さすぎず、手になじむちょうど良いサイズ感です。皮にツヤがあり、色が濃いものほど、太陽をたくさん浴びて美味しく育った証拠と言えます。
南柑20号の果肉や食感の特徴
果肉の特徴として特筆すべきは、「じょうのう(内袋)」の薄さです。みかんの房を包んでいる薄皮が非常に薄く柔らかいため、口に入れた時に違和感がほとんどありません。噛むと簡単に破れ、中から溢れ出す果汁と果肉が一体となって口の中に広がります。内袋が口に残ってモゴモゴすることがないため、袋ごとパクパクと食べられるのが大きな魅力です。
果肉そのものは非常に濃密で、粒の一つ一つがしっかりと果汁を蓄えています。サクサクとした食感というよりは、とろけるようなジューシーな食感で、舌触りが非常に滑らかです。種もほとんど入っていないため、ストレスなく食べ進めることができます。この「食べやすさ」と「とろけるような食感」は、特に小さなお子様や、硬いものが苦手なご高齢の方にとっても嬉しいポイントであり、家族団欒の場に最適なみかんです。
南柑20号の旬な時期
南柑20号は、早生みかんのシーズンが終わり、晩生みかんが出てくる前の「中継ぎ」ではなく、まさに冬のみかんシーズンの主役として登場します。
| 収穫時期 | 11月下旬 〜 12月中旬 |
|---|---|
| 出荷時期 | 12月上旬 〜 12月下旬 |
| 最も美味しい時期 | 12月中旬 〜 年末 |
南柑20号の収穫は、寒さが本格化する11月下旬頃から始まります。収穫された直後の果実は酸味が少し残っている場合があるため、産地では数日間から1週間程度、風通しの良い倉庫で「予措(よそ)」と呼ばれる工程を経ることが一般的です。これにより余分な水分が飛び、酸が抜けて味がまろやかになり、甘みが凝縮されます。
市場に最も多く出回るのは12月に入ってからで、特にお歳暮シーズンの12月中旬から下旬にかけて最盛期を迎えます。こたつを出して暖まりたくなる時期と、南柑20号の完熟のタイミングは完璧に重なります。お正月用のみかんとしても人気がありますが、年を越すと「青島温州」などの晩生品種へとバトンタッチしていくため、年内で食べ切るのが最も美味しい楽しみ方と言えるでしょう。まさに「師走の味覚」です。
南柑20号の食べ方・剥き方
南柑20号は「温州みかん」の王道を行く品種ですので、特別な道具は一切必要ありません。果皮は早生みかんに比べるとわずかに厚みを感じるかもしれませんが、果肉との密着度が適度で、手で簡単に剥くことができます。ヘタの反対側(お尻の方)から親指を入れて割くようにすると、綺麗に剥くことができます。
最大の特徴である「薄いじょうのう(内袋)」を活かし、房を分けたらそのまま口へ運んでください。薄皮を剥く必要は全くありません。むしろ、薄皮にはペクチンなどの食物繊維やヘスペリジン(ビタミンP)が豊富に含まれているため、袋ごと食べるのが栄養面でもおすすめです。また、果汁が非常に豊富なので、半分にカットして絞り、贅沢なフレッシュジュースにするのも良いでしょう。焼きみかんにして甘みをさらに引き出す食べ方も、寒い冬には乙なものです。
南柑20号の栄養素について
みかんは「天然のサプリメント」と呼ばれるほど栄養価が高い果物ですが、南柑20号もその例に漏れず、冬の健康維持に欠かせない栄養素をたっぷりと含んでいます。
| エネルギー | 約 49 kcal |
|---|---|
| ビタミンC | 約 32 mg |
| β-クリプトキサンチン | 約 1800 μg |
| カリウム | 約 150 mg |
| 食物繊維総量 | 約 1.0 g |
最も注目すべき栄養素は「ビタミンC」です。Mサイズのみかん2〜3個で、成人が1日に必要とするビタミンCを摂取できると言われています。ビタミンCは免疫力を高め、風邪の予防に役立つほか、コラーゲンの生成を助けて肌の健康を保つ効果も期待できます。
また、温州みかん特有の成分である「β-クリプトキサンチン」も豊富です。これはカロテノイドの一種で、体内でビタミンAに変換されるほか、強力な抗酸化作用を持ちます。近年の研究では、骨粗鬆症の予防や生活習慣病のリスク低減に効果がある可能性が示唆されており、注目を集めています。さらに、白い筋や内袋に含まれる「ヘスペリジン(ビタミンP)」は毛細血管を強化し、血流を改善する効果が期待できるため、冷え性の方にもおすすめです。美味しく食べて健康になれる、まさに冬の万能果実です。
南柑20号を美味しく食べるための保存方法
箱買いすることも多いみかんですが、正しく保存しないとカビが生えたり味が落ちたりしてしまいます。南柑20号を最後まで美味しく楽しむためのポイントをまとめました。
- 風通しの良い涼しい場所(冷暗所)で保管する
- 直射日光や暖房の風を避ける
- 箱買いした場合は、一度全て取り出して傷んだものを除く
常温で保存する場合のポイント
冬場であれば、基本的には常温保存で問題ありません。最適な温度は5度から10度程度です。玄関や廊下など、暖房が効いておらず、かつ凍らない程度の涼しい場所がベストです。ダンボール箱で購入した場合は、必ず一度中身をすべて出し、底の方で潰れたり傷んだりしているみかんがないか確認してください。傷んだみかんが一つあると、カビが周囲に伝染して全滅する恐れがあります。
箱に戻す際は、新聞紙を敷いてみかんを並べ、その上にまた新聞紙を敷いて重ねるようにすると、湿度の調整とクッションの役割を果たしてくれます。また、ヘタを下に向けて置くと乾燥を防ぎやすくなります。密閉せず、箱のふたは開けたままにして通気性を確保しましょう。
冷蔵で保存する場合のポイント
暖房が効いた暖かい室内や、春先など気温が上がってくる時期には冷蔵庫での保存が安心です。ただし、みかんは乾燥と低温障害を嫌うため、そのまま冷蔵庫に入れるのはNGです。数個ずつキッチンペーパーで包み、さらにポリ袋に入れて口を軽く縛ってから、「野菜室」に入れてください。
野菜室は冷蔵室よりも温度がやや高く、湿度も保たれやすいため、みかんの保存に適しています。食べる際は、冷蔵庫から出してすぐに食べるよりも、少し常温に戻してからの方が甘みを強く感じることができます。冷やしすぎると甘みを感じにくくなるため、食べる30分〜1時間前に出しておくのがおすすめです。
保存期間の目安
| 保存方法 | 期間の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 常温保存(冷暗所) | 1週間 〜 3週間 | 定期的に傷みがないかチェックする |
| 冷蔵保存(野菜室) | 2週間 〜 4週間 | 乾燥対策を徹底する |
南柑20号は皮が比較的丈夫で日持ちする品種ですが、生鮮食品であることに変わりはありません。上記はあくまで目安であり、購入時の鮮度や保管環境によって大きく異なります。特に、収穫後に時間が経過しているものや、配送中に衝撃を受けたものは傷みが早くなる傾向があります。
時間が経つにつれて酸味が抜けて甘みが増していきますが、同時に水分も徐々に失われていきます。皮がしわしわになってきたり、果実がフカフカと浮いてきた状態(浮き皮)になると味が落ちてしまうため、プリッとしたハリがあるうちに食べ切るのが理想です。どうしても食べきれない場合は、皮を剥いて房ごとに分け、冷凍みかんにしてシャーベット感覚で楽しむのも一つの方法です。
南柑20号の主な産地
| 産地 | 特徴 |
|---|---|
| 愛媛県(特に南予地方) | 発祥の地であり最大の産地。宇和島市、八幡浜市、西宇和郡など。 |
| 和歌山県 | 有田地方などで栽培。愛媛に次ぐ主要な産地。 |
南柑20号の最大の産地は、やはり発祥の地である愛媛県です。中でも宇和島市、八幡浜市、西宇和郡伊方町といった「南予(なんよ)」地方が栽培の中心地です。この地域は、リアス式海岸に面した急斜面に段々畑が広がっており、「耕して天に至る」と形容されるほどの絶景が広がっています。
この急斜面は、①空からの太陽、②海面からの照り返し、③石垣からの反射光という「3つの太陽」の恩恵を受けられる最高の環境です。さらに、水はけが非常に良いため、果樹に余分な水分を与えず、濃厚な味のみかんが育ちます。瀬戸内海の温暖な気候とミネラルを含んだ潮風も、南柑20号の美味しさを育む重要な要素です。和歌山県でも栽培されていますが、愛媛県においては中生みかんの代名詞として圧倒的なシェアとブランド力を誇っています。
南柑20号がおすすめな人
最後に、南柑20号はどのような方に特におすすめなのかをまとめました。
-
酸味が苦手で、とにかく甘いみかんが好きな人
酸抜けが良い品種なので、酸っぱさを感じることなく濃厚な甘さを楽しめます。 -
薄皮(じょうのう)が口に残るのが嫌な人
内袋が非常に薄く溶けるような食感なので、袋ごと違和感なく食べられます。 -
昔ながらの「こたつで食べるみかん」を探している人
味の濃さとコクは、日本の冬の風物詩そのものです。 -
お歳暮や冬のギフトを探している人
見た目の色が濃く美しく、味のハズレが少ないため、贈答用として最適です。 -
家族みんなで安心して食べたい人
種がほとんどなく、皮も剥きやすいため、小さなお子様からご年配の方まで楽しめます。
愛媛県が誇る傑作「南柑20号」。その歴史に裏打ちされた確かな品質と美味しさは、冬の食卓を豊かにしてくれます。スーパーで見かけた際や、通販でのお取り寄せの際には、ぜひ「南柑20号」という品種名に注目して選んでみてください。きっと、その濃厚な甘みとコクの虜になるはずです。


